心配よりも、理解と配慮を
先ほどより、病気の症状と健康な部分を分けて考えることの重要性を強調してきました。
たとえ症状に隠れてしまっていても、ご本人のどこかには必ず、「このままではいけない」、「健康になりたい」、「もっと幸せに生きたい」という治りたい気持ちの芽が潜んでいます。
ですので、まず、
本人の治りたい気持ちの味方になることが大切です。
そして、ゆっくりと焦らず病気と付き合いましょう。回復は、年単位で経過していきます。また、
回復は、小さなよい変化の積み重ねです。
小さな良い変化を見逃さず、ご本人もその小さな変化に気がつけるように援助しましょう。
例えば、前よりもほんの少し食べられるものの種類が増えた、ほんの少し周りの人に本音が言えるようになった、そんなことでも気がついて、ほめてあげることは助けになります。
(ただし、食事や体型の変化をほめる場合は、それに敏感な本人を傷つけないよう慎重に!体重が増えてきたときは、「太ってよかったね」よりは「顔色が良くなったね」「体力がついて一緒に楽しめることが増えて嬉しいな」のほうがずっといいですね。)
また、
症状に関係なく、今のままでも私を支えてくれる人がいる、受け容れてくれる人がいるという感覚は、治りたい気持ちの強い味方になります。
多くの回復した患者さんが、病気で何もできない自分、周りと比べてだめな自分でも、家族や周りの人が見捨てずに愛してくれたことが、回復の後押しになったと述べています。
最後に、治療の間も基本的な療養の場は家庭です。特に低体重であったり、発症直後の心の弱っているときは、家庭のなかでとほっとできる環境を整えてあげることが大切です。
家庭を安心できる療養の場にするためのコツ
- 当面のストレス(学校・仕事・人間関係等)をとりのぞき、休ませましょう。
- 頭でわかっていても、できないことを認めましょう。
- ゆっくり治すことを認めましょう。
- 食事と体重には口出しをせず、
- 食事量ややせ願望について押し問答をしないようにしましょう。
- 家庭で本人がほっとできるように、環境調整をしましょう。
- 本音で話し合い、本人との信頼関係を築きましょう。
- 子供がえりをし、特にお母さんとの関わりを強く求めることがあります。
- 甘えたい気持ちを無理せず受け止め、付きあってみましょう。
- 食事量が減った時は、頭ごなしにしかるのではなく、「何か心配事があるのか」と気遣いましょう。
- 過去を探ったり犯人捜しをしないで、現在、本人が困っている ことから工夫して解決していきましょう。
具体的にどんなサポートが良いかは、一人ひとりの性格や家族関係によって異なります。また、低体重で症状が強い時期、過食期、体重が回復し自立に向かう時期など、回復のステージによっても対応は異なります。
*ステージ別の具体的なサポートと問題解決は、DVD2対処編で詳しく解説しています。
*患者さんが望むサポートは、回復者から家族へのアドバイスをご参照ください。(もちろん、ご本人が何を望んでいるかを率直に尋ねてみることも大切です。