家族は、摂食障害の原因ではありません。
家族は、回復のための重要なサポーターです。
家族会の中で、「私の育て方が悪かったのだろうか?」「母親の過保護や、父親の不在が原因だと本で読んだのですか・・・」と言う事をよく耳にします。
確かに、摂食障害のお子さんを抱えた時、細かい食事のこと、日常の些細なことでけんかが絶えず、家族が混乱すると言うことは、良くあることです。
やせ細ったお子さんに、食事を食べさせようとすれば、「食べたくない」「私のつらさをわかってくれない!」と言われ、本を読めば「過干渉はいけない」と書いてある・・・。でもお子さんのことが心から心配で、命にもしものことがあったらどうしよう・・・と思い悩む。
このような状態では、ご家族が「何が悪かったのだろう」と自分たちを責め、自信をなくし、意識的にも無意識にも、家族の中で「原因探し」、「犯人探し」をしてしまうのももっともな事かもしれません。
しかし、家族が摂食障害の直接の「原因」であるという根拠はありません。
問題は、探せばどこの家庭でも出てきます。そして、原因を探り当てたからと言って、今困っている問題が解決するとは限りません。
多くの患者さんが、病気で苦しむさなかに、「家族のこんなところが嫌だ」「こうなったのは家族のせいだ」と訴えるのは事実です。
しかし、回復した時には、「家族に迷惑をかけて申し訳なかった」「家族が支えてくれたことがうれしかった」「やっぱり病気は自分で向き合あうべき問題だった」と述べているのも、また事実です。
家族が原因でないとすると、家族にできることはないのか、家族が回復に無関係なのかと言うと、まったくそうではありません。
苦しい病気の真っ只中にいる患者さんは、自分を受け入れてくれる人、サポートしてくれる人を求めています。
そして、多くの場合、身近にいるご家族こそが、患者さんが一番助けて欲しいと望む人で、一番多くの時間、サポートしてあげられる人です。
家族の適切なサポートがあれば、苦しい回復までの道のりを、より心強く歩いていけます。
過去にさかのぼって「原因探し」「犯人探し」をするのではなく、今目の前で困っている患者さんをサポートすること、問題解決の手助けをすることが大切です。