過食期がきて摂取カロリーが増加したり、入院して高カロリー点滴を受けると、いろいろな体と心の変化が起こります。
身体の変化
- 体の代謝が良くなる:体が温かくなり体温が上がる(37.5℃まで)、汗をかく(特に食後)、胸がどきどきする、皮膚がぽろぽろむける、頭髪が抜ける。
- 肝機能が一時的に悪くなる:肝機能の一時的低下(栄養量が急に増えて、肝臓の予備能力を超え、その後回復する)、便秘がひどくなる(胃腸機能の処理能力を超える)
- 下腹が出たのが気になり、頭から離れない:やせると内臓が下がり腹筋が弱くなるので食後に、下腹が異常に出ます。胃や腸が下がって前のほうに出てくるのです。体重が増加して、内臓を持ち上げる筋肉や腹筋が改善するとお腹も締まります。しかしこの時期はお腹が出ていることが気になってしかたがありません。
- 自己嘔吐をやめたとき:嘔吐していたときより唾液腺が腫れて痛む(唾液腺炎)、むくみ(嘔吐で失っていた水分がたまる、いずれ尿として排泄されるが腎臓の排尿機能がすぐに回復しないため)
こころの変化
心身の余力が出てきます。読書に集中できたり、テレビの面白い番組を見て笑ったりできるようになります。
一方で、やせている間は見えていなかった現実が見えてくるため、不安や気分の落ち込みは増加するかもしれません。
一時的にうつ状態になることもあります。しかし、体力や思考力がついた分、その不安に対処することは可能ですし、私たちもそれをサポートすることができます。
過食期のうつ
体重が急激に増える過食期には、一時的に「うつ状態」になることが知られています。うつ状態とは、体がだるく、何もやる気がおきず、何をしても楽しいと思えず、常に気分が落ち込む状態です。
人によっては、学校や仕事に行けなくなったり、完全に家にひきこもったりすることがあります。
周囲も自分自身も、「なまけ者になってしまった」「太って体が重くなった」と考えて心配することが多いようですが、うつ状態は栄養が入り、体がほっと一息ついた時に起こる脳の自然な反応です。
やせていた時に消費しつくしたエネルギーを補う期間ですので、やせが激しく期間が長ければ、それだけ回復にも時間がかかります。
しかし、時間がたてば、必ず回復し、やせていたときよりも活発に動けるようになります。この時期は、無理をせずゆっくり休むのが回復のポイントです。あまりにつらいときは、うつに効く薬がありますので、ご相談ください。