1.どんな時に、緊急入院治療や受診が必要か

やせによる体への影響はお話しましたが、下の場合は、生命にかかわる危険があるので、入院して治療が必要です。

標準体重の60%以下にやせると、全身衰弱になり、重い合併症が起こります。たとえば、低血糖で意識がなくなる(低血糖性昏睡)、脱水で腎臓の働きが悪くなる(腎不全)、電解質異常(嘔吐や下剤の乱用による低カリウム血症による不整脈)です。

また、栄養失調で結核の合併もあります。

拒食症(神経性食欲不振症)の緊急入院治療の適応

  1. 標準体重の60%以下のやせ
  2. 全身衰弱(イスから立ち上がれない、階段が上がれない)
  3. 重篤な検査異状や合併症
  4. 1ヶ月に5kg以上の体重減少があり消耗が激しい
  5. 絶食に近い摂食量の減少が続いている

体重に関わらず受診が必要な場合

  1. 意識がない、もうろうとしている(低血糖、低ナトリウム塩血の疑い)
  2. 全身の力を失ってぐったりしている、物を握ると落としてしまう(低カリウム血症の悪化)
  3. 嘔吐がある場合、嘔吐の時間・量が増大し、さらに下痢や高熱を併発(脱水により、腎不全、低カリウム血症が悪化して、時には透析が必要になる事もある)
  4. 全身の筋肉が痛み、体が動かせない、歩くのもつらい(横紋筋融解症:低カリウム血症悪化のため全身の筋肉がとける)
  5. 血を吐く、胸が痛いと言い出す(逆流性食道炎や粘膜断裁による出血の可能性)

*もし受診後、軽度と判明しても、躊躇しないで受診下さい。

精神科病棟への入院適応

  1. 著明な精神症状がある
    著明な抑鬱や不安,自殺願望,人格障害)
  2. 自傷行為や問題行動
  3. 治療上、厳しい行動制限が必要
  4. 過食衝動が強く、食物を自分で管理できない