摂食障害/拒食症の原因としていろいろなことが言われていますが、原因を特定したからといって病気が治るとは限りません。それよりも、なぜ、今、病気から抜け出すことができないかと、抜け出すための方法を理解することが大切です。
摂食障害/拒食症の発症に一番大きくかかわっているのは、「ストレス」と「コーピングスキル」です。聞きなれない言葉かもしれませんが、コーピングスキルとはストレスや困難なことになんとか対処していく技術(スキル)です。
具体的には、嫌なことは嫌と言えるスキル、ものごとに優先順位をつけて重要なものから処理していくスキル、自分の本音を人に伝えられるスキルなどが挙げられます。
人は何かストレスがあっても、それを乗り越えるために十分なスキルがあれば、なんとか健康に生活していけます。しかし、自分では処理しきれないような大きな困難に直面したり、逆に特に大きなストレスはないように見えてもコーピングスキルが未熟だったりすると非常につらい状態になります。発症前に、たとえば勉学の過重や進路の失敗、人間関係の悩み、家庭内の葛藤などのストレスがあったかもしれません。
それを乗り越えることができないでいるときに、ふとしたきっかけでダイエットを始めたり過労や体調不良からやせ始めたりすると、やせから抜け出せなくなり発症します。
しかし、ストレスによってなぜ胃潰瘍ではなく摂食障害になるのかはその人の特性と考えられ、脳や遺伝子が研究されていますがはっきりした原因はわかっていません。
また、この病気が先進国に多いことから、やせをよいとする文化も影響していると考えられています。
そして、やせから抜け出せなくなる理由は、これから説明する、やせの擬似安心感と飢餓症候群の間の悪循環です。