摂食障害/拒食症回復者アンケート2003

摂食障害回復者アンケート2003

質問1 体重を増やすことに対する不安や恐怖について

1)あなたにはどんな不安や恐怖がありましたか?

・食物、食べるという行為に対する不安と罪悪感。
(ピアノ教師)

・体重計の針が増えていると罪悪感があった。
(栄養士 既婚・子供あり)

・体重を増やさなければいけないとわかっていても、増やしたくないというすごい葛藤があった。せっかくやせた体を手放したくない、体重を戻すということは現実に向き合わなくてはならない、現実に向き合ってうまくいくかどうか自信がない、体重が増え続けて止らないんじゃないかと不安。
(高校教師 既婚)

・自分が希望する以上の体重になったらどうしよう、過食になって止らなかったらどうしようという不安があった。
(大学生 塾講師)

・せっかく苦労してやせたのに、あっという間に元の体重に戻るだろうという恐怖、過食・嘔吐するのではないかという不安。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・このまま限りなく太り続けるのではないかと不安だった。洋服が入らなくなると、自分がすごく醜く思えた。
(フラワー教室主催)

・自分ではやせたままでよいと思っていたので、周囲から食べなさい、太りなさい、やせているという言葉を聞くことが恐怖・不安だった。また、一気に自分の思った以上に体重が増えるのではないかと心配だった。いったん食べ始めると、自分でコントロールできなくなるのではないかと不安だった。
(看護士 既婚・子供あり)

・体重が増えることが怖かった。
(大学生)

・太って健康な体に戻ったら、周りの人たちが自分を気にしてくれなくなるのではないかと不安だった。
(会社員)

・毎日体重計に乗って、減っても増えても不安だった。ただ、原因はわからなかったが、疑問は感じなかった。
(主婦 既婚・子供あり)

・決まりごと、こだわり、やせていることで自分をコントロールしていたので、それらをやめることは、自分はなまけもので、生きる価値がない、自分がなくなると思った。
(会社員を経て、家事手伝い)

2)体重がどんどん増えてとまらないなどの不安は、現実に起こりましたか?

・いいえ。
(ピアノ教師)

・まったくなかった。
(栄養士 既婚・子供あり)

・いろいろな難題がふりかかり、自分は何もできないという思いが積み重なって大きな不安や・恐怖になっていた。
(高校教師 既婚)

・体重も過食も止った。
(大学生 塾講師)

・起こらなかった。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・体重は自分が許せるところでおさまった。
(フラワー教室主催)

・起こらなかった。
(看護士 既婚・子供あり)

・起こらなかった。
(大学生)

・もとに戻ったくらい。
(会社員)

・現実には起こらず。
(主婦 既婚・子供あり)

・過食になったが、我慢しないで体の欲求にまかせていたら、体重も過食も落ち着いた。ひどい過食にもデブにもならなかった。
(会社員を経て、家事手伝い)

3)その不安をいかに受け止めましたか?

・家族や先生に支えてもらいながら、あるがまま受け止め、治りたいという自分の気持ちを確認した。
(ピアノ教師)

・体重を増やさないようにした時期を経て、その後は増やすことに一生懸命努力した。先生の言うとおり、体重は恐ろしくは増えず、病気前の状態で止った。
(栄養士 既婚・子供あり)

・3つのことをした。今、自分がやるべきことを書き出す、やる順番を確認する、自分の抱えている問題に対する不安や恐怖を毎週のように留学中の親友に手紙で書き送った。友人は率直に返事を送ってくれ、他人に話すことで、形のなかった恐怖や不安がだんだん見えてきて、頭の中できちんと整理された。
(高校教師 既婚)

・太るのではなくて健康になるのだと自分に言い聞かせた。体重を減らすという自己管理ができたのだから、体重を戻すこと、過食を止めるというコントロールもできるはずだと自分に言い聞かせた。
(大学生 塾講師)

・最初は体重が増えることに、低カロリー食ばかり食べたり、毎日同じメニューだったり、くたくたになるまで泳いでいた。しかし、それまで食生活をなおざりにしていたことに気付き、毎食ごとの一人分の食事量、栄養バランスのとれた献立を勉強し、自分で作って、1日3回食べ、何をどれくらい食べるのが普通かを覚えるようにした。体重は徐々に増えたが、きちんとした食生活を送っているのでいつか止ると思うようにした。少しずつ肉がついて柔らかく暖かくなっていく自分の体にも慣れていった。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・「増やさないといけないんだ」と自分を無理に納得させてやけくそというかあきらめの境地だった。
(フラワー教室主催)

・まずは40kgを目標にして、その体重になるまで食べて大丈夫と言い聞かせた。食事の前後の体重変化を1kgと決め、その範囲内であれば何を食べても良いとした
(看護士 既婚・子供あり)

・受け止めていなかったが、「治ろう」とは思った。
(大学生)

・周囲が優しく受け止めてくれたことがささえになった。
(会社員)

・ある時期から、このままでは将来取り返しのつかない後悔をしてしまうのではという恐怖の方が強くなったため、体重増加は自然に受け入れられた。子供が大好きだったので、不健康な体と心では子供を生めないと自分に言い聞かせて体重を増やした。
(主婦 既婚・子供あり)

・小さい頃の、食べたときの楽しい気持ちやおいしさを思い出しながら、体重増加を許した。でも、自分を許したら楽だった。
(会社員を経て、家事手伝い)

質問2 過食、自己嘔吐、下剤の濫用の対処や解決方法

・その行為をした自分を責めないが、正当化もしない。
(ピアノ教師)

・過食の時は、先生から聞いた量や本を頼りに、「大丈夫」と言い聞かせながら食べた。
(栄養士 既婚・子供あり)

・下剤乱用は、お金がかかるし、日常生活に支障をきたしてアホらしくなって止めた。過食や下剤乱用をするときは、自分に不安や恐怖があるときと認識して、過食したくなったら、まず自分に「何が不安なのか?何が恐怖なのか?」と問いかけた。ただ、最初はどうしてよいかわからず、なるべく一人でいる時間を少なくしてアルバイトや授業のスケジュールを目一杯入れた。
(高校教師 既婚)

・過食をしても、朝、昼、晩ごはんを3食少しでも食べることで体に食生活のリズムを覚えさせた。嘔吐や下剤乱用は癖になると思い、決してしなかった。
(大学生 塾講師)

・食べ物を口に入れて噛んで吐き出すことはなかなか止められなかった。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・過食・嘔吐後の自己嫌悪がとてもつらかったので、部屋に、「やってはいけない」という貼り紙をしたり、1日おき、今週は1回、今月は1回と我慢しながら徐々に減らしていった。いつのまにか、今月は1回もしていないと気がついた。
(フラワー教室主催)

・嘔吐は一番いやなこと、下剤は通学途中でトイレに行きたくなると困るので、したことはない。
(看護士 既婚・子供あり)

・していない。
(大学生)

・していない。
(会社員)

・していない。
(主婦 既婚・子供あり)

・過食は我慢するとよけひどくなるので、からだの要求に従った。母や先生が、「食べても平気」と励ましてくれた。ここで我慢したら治らないと思った。
(会社員を経て、家事手伝い)

質問3 病気が進学・就職に災いしたこと

・病気をしていたため、将来に対する認識が幼く、面接の質問にまともに答えられなかった。しかし、その後、いろいろな人との出会いによって、世界の広さを知り、自分だけにとらわれているのがばかばかしくなった。
(ピアノ教師)

・病気で入院したため登校・勉強ができず、大学のランクを落としたし、思うように就職活動ができなかった。
(栄養士 既婚・子供あり)

・進学には支障なかった。就職時は外見や健診では問題なかったが、「以前に病気をされたことはありませんよね」と聞かれ、「はい」と答えて後ろめたかった。摂食障害に偏見がなくなり、自分に精神面で弱い部分があることに気付いてよかった。
(高校教師 既婚)

・拒食症だった時間が無駄だったし、その間、健康な体を失ったことが残念。
(大学生 塾講師)

・誠にありがたいことに、大学の先生方が暖かく見守ってくださった。体を治してから勉学を続けることができるように、1年間の休学手続きをとってくださり、復学したときも、やせてふらふらしたり授業中居眠りばかりしても許してくださり、研究生にしてくださったり、不完全な修士論文を受理してくださった。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・アルバイト先での会食が辛かったが、少食と思ってもらえたので何とか過ごせた。
(フラワー教室主催)

・やせている時は、いくら勉強しても頭に入らなかった。受験の面接はすべて落ちた。
(看護士 既婚・子供あり)

・頭が回らず勉強ができなかった。馬鹿になったようで、悔しかった。
(大学生)

・会食で、「どうして食べられないの?」と聞かれ、他人との食事が辛かった。
(会社員)

・挑戦したい職業があったが、今の自分では無理とあきらめた。
(主婦 既婚・子供あり)

・自分の食事は自分の思い通りにしたいので、会食ができなかった。そこで、食事を誘われたら、前もって断る理由を考えておいた。
(会社員を経て、家事手伝い)

質問4 病気をしたことのメリットとデメリット

・病気をしていた数年間の記憶がない。ちょっとしたつらいことも乗り越えられるようになった。
(ピアノ教師)

・高校~大学生の6年間を制限付きで生活しなければならなかったことが残念。
(栄養士 既婚・子供あり)

・残念だったことはないし、たいしたことではない。病気をしたことは不運と思うが、この病気をしなかったら、自分の問題に向き合うことはなかったので、今はあのときがあって良かったと思う。
(高校教師 既婚)

・摂食障害に偏見をもたなくなり、自分にも精神面で弱い部分があることに気付いたことは良かった。しかし、拒食症をしていた時間は無駄だった。
(大学生 塾講師)

・残念なことは母に心配をかけ、辛い思いをさせたことと、自分で病気を長引かせて大切な20代を失ったこと。得たことはたくさんある。心から信頼できる先生方と友人(これは私の宝)、人を思いやる気持ち、両親や兄弟や他人への感謝、健康のありがたさを痛感した。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・自分にとって何が自然で何が不自然なものかが見えたので、人付き合いでも他のことでも楽になった。20歳前後に、普通の女性の生活ができなかったことが残念。
(フラワー教室主催)

・病気を乗り越えた自信、目標を達成できる自信、物事のタイミングを待つ忍耐力がついた。病気をしたことで、両親が自分を理解してくれた。病気をしたから今の自分があるので、デメリットはなし
(看護士 既婚・子供あり)

・人の気持ちを深く理解できると思う。中学生で発病して治ったので、早く自立できた。成長期に病気をしたので、身長が伸びなかったこと、学力が伸びなかったのが残念。就職試験の面接で小さいことを指摘されて悔しかった
(大学生)

・親がどれほど自分のことを思っていてくれるのかがわかった。やせなくても、親の愛情は変わらないことに気付いた。
(会社員)

・青春時代を、「自分は心の病気なんだ」という劣等感を持って過ごしたので、いつも消極的で、本当にやりたいことができなかったことが残念。
(主婦 既婚・子供あり)

・小さい頃から他人の顔色をうかがって、自分の思っていることを言えず、他人に合わせてよい子でいようと自分を抑えて生きてきた。そのため、自分というものがわからなかった。病気になって自分の居場所、自分の生き方を探していたんだと思う。悩んで、一杯時間もかかったが、ありのままの自分でマイペースで生活するようになり、楽しいことが増えた。「治る」ということは、単純に自分がかわいいなと思えること。だれにでも弱い部分やこだわりがある。だれも自分に都合の良いように楽しく生きているとわかってから、いろいろな生き方があっても良いと思えた。自分自身、人付き合いは苦手でどうしようもないところがあるけれど、こんな自分と仲良くしていこうと思う。
(会社員を経て、家事手伝い)

質問5 今、病気をしている方へのアドバイス

・必ず良くなるという希望を持ち続けること、異常な行為や思考は必ず改善するので焦らないこと、前向きに生きること、自分を取り巻くすべての事象に感謝の気持ちを忘れないこと。
(ピアノ教師)

・できるだけ早い時期に食へのこだわりをなくし、もっといろいろなことに目を向け、世界を広く見ることができる心を養ってほしい。
(栄養士 既婚・子供あり)

・抜け出せないトンネルはないので、いつかは明るい出口が見えてくる。医者や支えてくれた人たちが心の問題を解決してくれたわけでなく、結局、自分の問題は自分で解決しなければならない。でも、苦しみをわかちあってくれる人の存在ほど大切なものはない。自分が心を開きさえすれば自分の問題が明確に見え、糸口があるかもしれない。意外に自分がほしいものはそばに転がっていたりもする。少しでも、ほんのちょっとでも摂食障害から抜け出したいという気持ちがあるなら、治療に踏み出してほしい。
(高校教師 既婚)

・進学した大学で勉強の面で認められることが多くなり、自分の価値に気付いて自信がもてるようになった。同時に、やせなくて良いと思い、健康体重を維持できるようになった。この病気は自分が一番損をしている。自分の体に悪影響を及ぼしていることに気付いてほしい。体重を減らすことでなく、違うことに楽しみを見出してほしい。
(大学生 塾講師)

・どうぞ、一つしかない大切なご自身の体をいたわってあげて下さい。体があげる悲鳴に耳を傾けてください。体はあなたが思っている以上に傷ついています。私は、あそこまでやせる強い意志と根性があったのだから何でもできると思って、その意志と根性を、ベネチアで好き絵の勉強につぎ込んでいます。留学前も、イタリアでの食生活で太るのではないかと心配でした。でも実際にはほとんど変化はないようです。私はやせていたとき、頬もこけて表情がまったくありませんでした。早く皆様にも幸せな笑顔が戻ってきますよう心から祈っています。
(美術研究者ベネチア留学中 美術史研究者)

・「神様は乗り越えることのできる人だけに試練を与える」と誰かが言っていたので、それをメモ帳に記して、辛いときはよく見ていた。とても不安で辛い時期ですが、人生において決して無駄な時間でもないと思います。
(フラワー教室主催)

・やせている体重の年代に戻りたがっていると医者の言われたので、その年齢を思い出し、楽しかったとなつかしみ、その次の年齢ですべきことを遅ればせながら行動に移した。親にたくさんわがままを言った。たくさんお金を使わせたり、予定をドタキャンしたり、周囲の人に一杯迷惑をかけた。そして、今やっと、本当の年齢相応の行動ができるようになった。治るきっかけは、病院でアルバイトをしたときに、病気と闘う小児患者を見たこと。それからは、私流で言えば、「自分探しの旅」に出た。今までやりたくてもできなかったことや興味あることに挑戦、親に対して心の底から甘え、反抗し、周囲からはわがままと思われることをたくさんした、その結果から自分を評価して反省して行動を変えていった。両親が大好きだが、両親の考えと違うことをしたいときは、信頼してさせてほしかった。決して自分を卑下しないこと、自分の弱さを認め、弱みを人に見せること。自分を好きになることが大事。
(看護士 既婚・子供あり)

・最終的に治るには、辛いけれど自分の力が必要です。自分を生かし、自分のために何かをし、人のためにも何かできるためには、自分が健康でなければなりません。病気のときより絶対に幸せになれます。治ってみると、絶望していた「生きること」が、多少いやなことがあってもいかに美しいかわかるでしょう。
(大学生)

・やせて自分の体を傷つけるのではなく、自分の気持ちをきちんと言葉で伝えること。頑張りすぎないこと。少し休んでみる。
(会社員)

・やせることはいつでもできると割り切って、少しだけ体重を増やす努力をしてみる。体重が正常に近くなると、本当の自分が見えてきて、自分のやせは普通じゃないと冷静に理解できる。そうすると、再びやせることはしない。一日も早く、楽しく過ごせる日が来ることを祈ります。
(主婦 既婚・子供あり)