3.健康な部分を大切にしましょう

本人も摂食障害という病気に取り付かれてつかれきっています。

家族が巻き込まれるのは当然ですし、できることには何事にも限界があります。

摂食障害には特有の症状は、健康な人には理解しにくいものです。
ストレスがあると痩せたくなる、特定の食べ物にこだわる、痩せているのに動き回る、ストレス解消のために嘔吐や下剤を使用するなどの症状は、摂食障害の知識がないと(たとえあったとしても)、「なんで?」といいたくなる症状かもしれません。

しかし、低体重やこれらの食行動にばかり目を向けると、摂食障害の泥沼にはまってしまいます。

むしろ、これらの症状にとらわれず、本人の健康な部分に目をむけ、それを伸ばしてくことが重要です。

例えば、こんな風に考えてみてください。

健康なもともとの本人に、摂食障害という「オバケ(症状)」が取り付いているような感じです。

テレビを見たり、世間話をしているときは普通なのに、食事の話題となると目の色が変わったようになり、とんでもないおかしなことを言い出す・・・
そんな経験をしている方は多いのではないでしょうか?

普段の世間話をしたり、将来のことを考えたりするのが健康な本人、目の色が変わったときは「オバケ(症状)」が取り付いている状態。そんな風に考えると理解しやすいかもしれません。

周りの人にできることは、この「オバケ(症状)」の正体を知り、それの悪影響が最小限になるように援助することです。そのためにも症状の科学的な理解は欠かせません。

そして、家族・医療者・そして摂食障害にかかっている本人も、みんなで協力してこのオバケを管理し、小さくしていくイメージを持つと良いかもしれません。

そのためには、本人の健康な部分と、症状を分けて考えることが重要です。例えば、体重や体型の話は症状の部分です。いくら体重を増やすように言いきかせても、それは「オバケ」と格闘しているようなもので、本人のためにはなりません。

むしろ、体型や体重に関することには口出しをせず、本人の健康な思春期の悩みや、ストレス、日常の楽しい話には真剣に付き合うことが、本人自身のためになります。

また、家族自身も疲れきってしまわない工夫をしましょう。

症状と本人を分けて考え、症状に巻き込まれないようにすることで、家族自身も楽になれることが多いようです。