Q.嘔吐を止めさせるにはどうしたらよいでしょうか?
A. 嘔吐の意味・・・いやなこと(ストレス)を吐き出す。
いやなことを止めない限りは治りません。受験・就職活動など本人にストレスがかかっている期間は、止めるのは無理でしょう。本人からこの過食嘔吐を取ってしまうと、もっとひどい行動(リストカット・自殺など)をしてしまうので、これで命を保っているのです。
本人が嫌ではない健康な時間を増やして、過食嘔吐の時間を短縮するようにしましょう。
生活に支障がない程度なら、過食嘔吐があってもよいと思います。完璧に治らなくても、お酒でストレス発散するのと同じ様に、悪友のような感じでうまく付き合っていけば、いいのではないでしょうか。
Q.どうしたらやせすぎるのを止められますか?
A.やせには、ストレスを感じる感受性を鈍らすという機能があるので、やせを止めるのも、体重を増やすのも難しいことです。
本人が目先の困ると思うことを提示して(この体重では困るというデメリット)、この体重があればこれができるという目標を作りましょう(旅行に行ける・学校に行けるなど)。
目の前にある体重維持のための小さな目標を見つけることで、体重が増えることを徐々に許せるようになるでしょう。
それでも止まらないときは、入院をして命をつなぎ、仕切り直しをする覚悟も必要です。
Q.完治するのでしょうか?
A.中学・高校生発症の場合は、環境が変わる機会があり、選択枠が多く目標設定ができるので、治る確率は高いです。それに比べて、25歳以上で発症した人は、環境が変わらない場合が多いため、治りにくくなります。
回復者で10年以上病歴がある40例では、ほとんどの方が家族と同居していて、半分の方は働いています。結婚している方25%、子供がいる方20%、生活保護を受けている方は2名でした。
その方たちの、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質の自己評価)の平均は5点満点の3点でした。(一般の平均は3.3点)。本人がまぁ良いと思える生活をして、経済的にもなんとかなる保証がある環境にいることで、完治していくことにつながるのではないでしょうか。また「完治」が何をさすのか考える必要はあるでしょう。
治っていくきっかけ(アメリカ・ヨーロッパでの回復者への複数の調査より)まとめ
- 治るという自分の決意
- 友人からのアドバイス(アメリカ・ヨーロッパでは家族と距離を置いている場合が多いため)
- 家族のサポート(家族の継続的なサポート、情緒的な支援、病気の理解、家族の変化など)
- 医療・専門機関への通院・入院
- 環境の変化(嫌なことからの脱出)
- 特になし(大きなきっかけは特になく、一連の流れの積み重ねだという回答。意外に多い)
大人の対応ができるようになること、本人の成長が治る要因でもあります。性格的に「~ねばならない」とか、完璧主義の考え方が変わらないと、治りにくいでしょう。
「きっかけ」という観点から見ると、病院に行くこと、家族のサポートなどは皆さんすでにやっていると思います。それプラス「気持ちの変化」が必要なのです。
Q.回復期の過食はどう対応したらよいですか?
A.体重が回復してその先に良いことがあれば、おさまっていきます。食べ始めてからおさまるまで一年くらいです。我慢をしたら長引きます。治った先の目標を立てたり、環境・出会う人で乗り越えていくでしょう。
Q.過食期に、心配になるくらい食べていて、食べすぎじゃないかと言うと、本人は落ち込みます。どうしたら良いでしょうか?
(母親Aさん)辛い時期で泣きながら食べている時もあるので、辛い気持ちをくみとって、「食べ過ぎ」の言葉は禁句です。
(母親Bさん)過食のメカニズムを理解して、自然におさまる時が来ると信じています。
(母親Cさん)兄弟が自由に食べたり、気を使わない行動をしているのが、本人にとって健康な部分を見出すきっかけになりました。
(母親Dさん)栄養の大切さを伝えても無理だったので、見守るのが一番だと思います。
過食期は食べすぎがないので、「大丈夫」「この時期なら、この量を食べることは普通だよ」「長いことがまんしていたから」「おさまるって聞いているから」って伝えて、本人がもっと食べてもいいか聞かれたら、「お腹に入るんだったらいいよ」「今はいいよ」と今を肯定しましょう。