- 参加:22家族 23名
- 日時:2011年7月8日土曜日
- 内容:今回は、患者さんと家族の間で日々起こる、どう対処してよいかわからない「困った会話」に関するご家族からの相談に、皆でアイディアやアドバイスを出し合いました。
*解説は、家族にできること/7.「困った会話」の対処法をご覧下さい。
困った会話に関するご家族からの相談
相談:胃腸が悪いから食べられないのだと主張する娘(36kg)に対して、本当にそうなのかなと思いつつ「良くなるといいね」と答えているのですが、それで良いのでしょうか?(母親)
アイディア・アドバイス
・自分を病気と認めたがらないのは、認めてしまうと体重を増やさないといけないと思い、防御しているのです(鈴木)。
・うちでは、やせると胃腸の筋肉も落ちることなどが本に書いてあるものを見せた。一般的なものを見せると、親の意見を言うよりも説得力がある(母親)。
・同じように胃腸が悪いと言っていたので、胃腸科、婦人科などの専門家に連れて行った。体重が増えない限り治らないとどこでも言われ、結局、本人も納得して心療内科に行った(母親)。
→最初は本人のストーリー(言い分)に合わせてあげて、徐々に納得させたのが良かったのではないか。始めからこちらのストーリーを押し付けても、聞かないので、相手のストーリーに合わせつつ、治療の方向に持って行く。ただし、時間がかかるというデメリットはある(小原)。
相談: 「死にたい」という時があるがどう対応したらいいか
人生に迷っているようで、「死にたい」という時があるが、どう対応したらいいか?
自分がいてもいなくても、誰も哀しむ人はいない、消えてしまいたいと言います。兄弟が楽しんでいる時、同年代の友達が楽しそうにしている時や疲れた時に「私なんか居ないほうがいいんだ(死にたい・消えたい)」と言うことが多い(母親)。
アイディア・アドバイス
・うちの子も死にたいと言っていたが、答えようがなかったので、やさしくしながら聞き流していると、本人が自ら改めて、言わなくなりました(母親)。
・まず、そんなに辛いのねと共感してあげる。それから希望や「今できることはない?」と聞いて、出来ることがあれば一緒にしてあげています(母親)。
・「つらい」という気持ちを受け止めることが大切。死にたいと考えることは若い人にはよくあること。死にたいという時、ほとんどの場合、本当に自殺するつもりだと言っているのではなく、死にたいくらいつらいと言っている。そこを区別して受け止める(鈴木)。
相談:死にたいといって実際に行動(リストカット)した場合、どう対応したらいいのか?(母親)
リストカット(腕や手首をカッターなどで切ること)にはいくつかの可能性があります。それを区別して対応することが大切です(小原)。
① 本当に死ぬつもりだった
縫合が必要なくらい深く切っている場合は、緊急の対応が必要。
しかし、摂食障害の患者さんの場合は非常に稀。
② 症状/癖(嗜癖行動)
リストカットをすると、スカッとしたり嫌なことを忘れられたり、気持ちが良いのでついしてしまう。過食・嘔吐と同じで癖になっていて、やめたくてもやめられない。過食・嘔吐と同じように、症状と見て対応する。
③ アピール-こんなにつらいとわかってほしいと訴えている
摂食障害の患者に多い。拒食と同じようにSOSを出している。大げさな反応もNGだが、放っておくと、もっと大きな行動をしたくなる。
つらい気持ちは汲んであげると同時に、その行為ではなく、別のことでSOSを伝えられるように工夫するとよい。
あなたのことを心配している+その行為はやめてほしい、この2つを伝えて本音でアドバイスする。
アイディア・アドバイス
・浅い傷でも丁寧に手当てをしてあげて、そんなにつらかったのねと伝えている(母親)。
・SOSの他の方法を考える。我慢できなければ、電話しても良いよ、職場に来ても良いよと伝える(鈴木)。
・パニックを起こした時は、スキンシップしたほうが良い。言葉よりもハグをする(母親)。
・若い方が死にたいと感じるのは、色々なことをよく考え、向上心が高くて、一生懸命に生きているからだと思う。楽して人に迷惑かけてもよいと思っていたら、死にたいなどと考えないのではないか。
一生懸命生きていることをほめてあげる(小原)。