やせによる体への影響はお話しましたが、下の場合は、生命にかかわる危険があるので、入院して治療が必要です。
標準体重の60％以下にやせると、全身衰弱になり、重い合併症が起こります。たとえば、低血糖で意識がなくなる（低血糖性昏睡）、脱水で腎臓の働きが悪くなる（腎不全）、電解質異常（嘔吐や下剤の乱用による低カリウム血症による不整脈）です。
また、栄養失調で結核の合併もあります。
拒食症（神経性食欲不振症）の緊急入院治療の適応
- 標準体重の60％以下のやせ
- 全身衰弱（イスから立ち上がれない、階段が上がれない）
- 重篤な検査異状や合併症
- 1ヶ月に5kg以上の体重減少があり消耗が激しい
- 絶食に近い摂食量の減少が続いている
体重に関わらず受診が必要な場合
- 意識がない、もうろうとしている（低血糖、低ナトリウム塩血の疑い）
- 全身の力を失ってぐったりしている、物を握ると落としてしまう（低カリウム血症の悪化）
- 嘔吐がある場合、嘔吐の時間・量が増大し、さらに下痢や高熱を併発（脱水により、腎不全、低カリウム血症が悪化して、時には透析が必要になる事もある）
- 全身の筋肉が痛み、体が動かせない、歩くのもつらい（横紋筋融解症：低カリウム血症悪化のため全身の筋肉がとける）
- 血を吐く、胸が痛いと言い出す（逆流性食道炎や粘膜断裁による出血の可能性）
＊もし受診後、軽度と判明しても、躊躇しないで受診下さい。
精神科病棟への入院適応
- 著明な精神症状がある
著明な抑鬱や不安,自殺願望,人格障害） - 自傷行為や問題行動
- 治療上、厳しい行動制限が必要
- 過食衝動が強く、食物を自分で管理できない